2006年2月12日 (日)

緩音変異

エルフ語学習の関門のひとつ?である緩音変異(Mutation)。日本語でいう「音便」のようなものです。1本、2本、3本で同じ「本」なのに前に来る音によって発音が変化するとか、「川」が「~川」となると「がわ」と発音するとかそういう変化のこと。英語でも似たような変化がおきることはあって、例えばknifeがknivesになるのがそうです。(-sの音の影響を受けてfがvになる。)

これはウェールズ語の大きな特徴でもあって、エルフ語はそこからヒントを得たわけですね。ウェールズ旅行前にちょっとだけウェールズ語をかじってみたのですが、見事にここで挫折しました。文字の読み方をやって、挨拶を覚えて、「私の名前は~です」とかの文まではよかったんだけど、次の「私は~に住んでいます」とか旅の基本文「~へはどう行くのですか」などの文になったらいきなりMutationの壁が! 地名に前置詞がついたら、地名の最初の音が変わっちゃうんだから~。固有名詞の、しかも最初の文字(音)を変えるなよ~。

たとえば、ynやoがつくと次のように変化します。
Bangor        yn Mangor         o Fangor
Dolgellau     yn Nolgellau           o Ddolgellau
Caerllion   yng Nghaerllion    o Gaerllion
比べて見なければ同じ地名とはすぐにわからない(汗)。ふむふむ、ynがつくと鼻音化するんだ。それは鼻音のnの影響を受けるから納得できるなあ。oがつくと軟音化するというけど、破裂音が摩擦音になる、あるいは無声破裂音が有声破裂音になるのか。組み合わせによっては帯気音化するものもあるようです。

無声音が有声音になる、つまり日本語でいう濁音化のことを軟らかくなるというのは、日本人にはちょっとわからない感覚のような気がします。「た」より「だ」のほうが強い音のような気がしますよね。エルフ語講座で先生はそれをふまえて「強く発音するように変化する」と説明していました。英語などでは無声子音の発音がたぶん日本語よりもずっと強くて勢いのある音なので、濁音のほうがそれより弱いと感じるのではないかと思います。

ちなみに「濁音がソフト」というのは、『灰色の王』のブラァンがウェールズ語をウィルに教える場面で、日本語の「にごるんだ」が英語で「soft sound」だったのに驚いて知ったものです(^^)。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2005年12月22日 (木)

ウェールズ伝承(5)コスレンと異世界の王

今日は冬至、『光の六つのしるし』を読みたくなる時期です。この本が映画化されるかどうかはナルニアが成功するかどうかにかかっているのかもしれません。ジブリの『ゲド戦記』アニメ化のニュースを複雑な思いで聞いて、『光の六つのしるし』のニュースでは不安より期待の方が大きかったのはどうしてなのか、自分でちょっと不思議に思いました。ゲドよりずっと思い入れが深いのに。ジブリが原作ものをジブリ風にアレンジしてきたのを知っているからかな。とりあえずウォルデンメディアは未知数だから。その意味でも、ナルニアの出来は気になります。

それはともかく、カボチャと柚子湯の後は、ウェールズ伝説をどうぞ。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

コスレンという隠者が、とある山腹の小屋に住んでいた。もとは戦士だったが武器を捨て高徳の人となったので、その谷に教会ができると「コスレンの教会」スランゴスレンと呼ばれるようになり、そのまわりに町ができていった。

ある日羊飼いたちが異世界の王グウィンについて話していた。
「グウィンは妖精や悪霊たちの王なんだ」「グウィンに仕えたいものだな」
コスレンはそれを聞いて「グウィンは悪魔と同じようなものだからそんなことを言ってはいけない」と怒った。羊飼いたちは「そんなことをグウィンに聞かれたら自分の身が危ないぞ」と言って逃げていった。

そのすぐ後にノックの音がして、「異世界の王グウィン様からの命令です。正午に緑の塚においでください」と声がした。コスレンは「考えておこう」と返事をした。
翌朝同じメッセージに対してコスレンは同じ返事をしたが、3日目になると「正午に緑の塚に来なければ軍隊を送る」と言われ、コスレンはけりをつけるために出かけることにした。

コスレンは聖水のビンをポケットに入れて出かけていった。塚に登ると、そこには庭園に囲まれた素晴らしいお城があり、騎士や踊り手、音楽隊が集まっていた。威厳のある王が出迎え、コスレンを城内へ招き入れた。広間には金のテーブルにおいしそうなご馳走が並び、赤と青の服の従者が控えていた。
「コスレン、まあ座って食事でもしようじゃないか」
しかしコスレンは座らなかった。「木の葉を食べたり草の露を飲んだりはしません。おわかりでしょう」
王は眉をひそめたが、笑顔になって言った。「そなたにはここにとどまって私の相談役になってもらいたいのだ。赤と青の服を身につければ望みは何でもかなえよう」
「世界の富すべてをいただいても、その色は身につけません」
「なぜだ?」
「赤は焼かれること、青は凍えることだからです。おわかりでしょう」

そしてコスレンはポケットからビンを出してふたを取り、聖水をあたりに撒いた。城も人々もあっという間に消え失せて、丘の草地に陽が射しているだけだった。
その後コスレンのところにグウィン王の使いが来ることは二度となかった。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

隠者の名前Collenを、地名との関係からコスレンと表記しました。LLは摩擦音の加わったLの音で、摩擦をすごく強くした「スル」や「フル」みたいに聞こえます。
Llan(スラン=教会)+Collen(コスレン)がLlangollen(スランゴスレン)になったんですね。cがgに濁音化(有声化)するのは、ウェールズ語の特徴であるmutationのためだと思います。日本語の連濁みたいなものですが、鼻音化や帯気音化もあって複雑でついていけません~。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年10月31日 (月)

ウェールズ伝承(4)騎士の洞窟

「年も死にゆく死者の日」です。昔ケルトの暦では新年が11月=samhain(アイルランド語やゲール語ではサウィンと発音するらしい)に始まったといいます。日没と共に一日が始まると考えられ、10月31日夜から祝ったとか。のちにキリスト教の万聖節と融合してハロウィンの行事となり、現在に至ります。
サマイン・スペシャルとして(ウェールズ語ではサマインでいいのかな?)久々にウェールズ伝承の紹介をします。
最近は日本でもハロウィンのイベントをやっているようですが、商魂に乗せられているみたいで抵抗あるなあ。外国の行事で盛り上がるのもいいけど、日本の季節行事も受け継いでいきたいものです。ま、それはおいといて。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1850年頃のこと。羊飼いがスノードンの近くのクウム・トレガランの谷で羊を集めていたところ、一頭の羊が逃げ出して山の斜面を登り、見えなくなってしまった。羊飼いは羊を探して断崖を登り始めた。羊はなかなか見つからず、もうあきらめようと思った時、目の前に深い洞窟の入り口が現れた。驚いた羊飼いが中を覗いてみると、床に列になって人が並んでいるように見えた――それとも岩だろうか? よく見ようともう一歩踏み出すと、岩壁からぶら下がっている何かに肩がぶつかった。それは大きな鐘で、ガラーンと大音声で鳴り響いた途端、床の人影がギシギシ音を立てて立ち上がり動き始めた。

肝をつぶした羊飼いは、後ろを振り返りもせずに断崖を駆け下り、走りに走ってベズゲラート村のパブに駆け込んだ。エールを飲んでやっと息をつくと、周りの客は何があったのか知りたがった。話を聞いた客の多くは嘘をつくなと笑ったが、一人の老人がこういった。
「わしは信じるぞ。洞窟に眠るのが誰か、祖父から聞いているからな。祖父はそのまた祖父から聞いたという、先祖代々、魔術師エムリス(=マーリン)から伝わる話だ。」
そして老人は語り始めた。

アーサー王はサクソン人と何度も戦って北ウェールズから追い出した。しかし、かつては円卓の騎士だったメドロッドがサクソン人と盟約を結び、彼らをひそかにクウム・トレガランに導き入れた。そこで大軍がアーサー王を待ち伏せして戦う計略だったのだ。アーサー王はこの裏切りを知り、既に年老いていて騎士の数も減っていたが、軍を集めてカーレオンから北に進軍した。軍はこのパブから2マイルのところ、ディナス・エムリスのふもとに陣を張った。メドロッドとサクソン軍はスノードンの下、トレガランの谷に隠れているとわかった。この谷は登れても反対側が断崖なので、アーサーは数では劣勢だが敵を逃がさないで戦えると思った。

翌日アーサー王の軍はクウム・トレガランに進軍し、侵攻者に対する最後の戦いを挑んだ。山の斜面は双方の兵士の死体で覆われていった。アーサーは数人の兵士と共に、残ったサクソン軍を断崖から追い落とした。しかし落下する前にサクソン軍が放った矢のひとつがアーサーに命中し、致命傷を与えてしまった。その尾根が今でもブルフ・ア・サイサウ「矢の通り道」と呼ばれるのはそのためだ。

アーサーは矢を体から引き抜いた。その時裏切り者のメドロッドが剣を振りかざして向かってくるのに気がついた。アーサーはその攻撃をかわし、何とか自分の剣エクスカリバーを握ると、メドロッドに切りつけて倒した。

忠実なベディヴィアが瀕死の王を断崖から湖まで運び、アヴァロンの島に向かう舟に乗せた。残った騎士たちは重傷を負いながらも近くの洞窟へ行き、そこで休んだ。彼らは現在に至るまでそこに眠っており、アーサー王の帰還を知らせる鐘が響いて目覚めの時が来るのを待っている。

「だからその羊飼いの話をわしは信じる。伝説は正しかったのだ。」と老人はいった。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

洞窟に眠る騎士というのに加えて、王都キャメロットがカーレオンだったということになっているのが、うれしかったりします。
それにしても『落日の剣』が手元にある時にこの話を読んでいればよかった・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月11日 (木)

ウェールズ伝承(3)オウェイン・グリンドゥル

今度は実在の人物オウェイン・グリンドゥルの物語です。シェークスピアの『ヘンリー4世』や『樹上の銀』の318ページあたりにも登場する、ウェールズ独立の象徴的存在の人。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ウェールズ王家の血を引くオウェイン・グリンドゥルは、ヘンリー4世の宮廷に騎士として仕えていた。宮廷のイングランド人は彼の名前を「オーウェン・グレンダウワー」と発音していた。グレイ卿が自分の領地を侵したことをきっかけに彼はウェールズに戻り、プリンス・オブ・ウェールズの称号を主張してイングランドの支配に反旗を翻した。

反乱ははじめは成功していたが、ヘンリー4世が大規模な軍を送り込むと流れが変わり、ウェールズ軍の敗北となった。オウェインは北ウェールズの山中でイングランド軍に追われる身となった。

オウェインはベズゲラート(Beddgelert)に住む友人赤毛のリースのもとにたどりついた。リースはオウェインを歓待し、身の危険も顧みずにオウェインをかくまった。しばらくは見つからずにいたが、ある日見張りからの知らせで王の軍が向かってきたことを知った。ふたりは同じ服を着て召使に見せかけ、裏口から山中に逃げた。茂みに隠れながら逃げたが、岩だらけの斜面に出た時に遠くから兵士に見られてしまった。

ふたりは丘の斜面を追われながら走った。
「あの岩の陰で道を外れて逃げるんだ。私はまっすぐに走る。」とリースがいい、オウェインはそれに従ったが、リースの帽子が飛んで赤い髪が見えてしまった。
「あれはグレンダウワーではない! 向こうにいるのがそうだ。」

追われたオウェインは行く手をさえぎられ、ベズゲラートの近くにそびえる山モエル・ヘボグ(Moel Hebog)に向かって走ることになってしまった。山の左手にも右手にも、ヘンリー王の兵士たちが迫ってきて、オウェインは逃げ場を失ったと思った。

ベズゲラートからモエル・ヘボグを見上げると、山頂の左下の崖に裂け目があるのが見える。オウェインは万事休すと思った瞬間にその裂け目を見つけて、そこを登り始めた。煙突のように狭くて急な、高さが300フィートもある裂け目だったが、そこしか逃げ場はない。ちょっとでも滑ったら敵につかまるだけでなく首の骨さえ折ってしまうだろう。しかしオウェインは岩登りの名人で、兵士たちが裂け目の下に着いた時には半分以上登っていた。

兵士に追って登るよう命令が出たが、誰も追うものはなかった。ヤギじゃないのだから登れるわけがないと誰もが思ってあきらめたのだった。オウェインは無事に登りきり、山の洞窟に隠れた。ほとぼりが冷めるまでリースはこっそりと食料を運んで援助し、その後オウェインは再び反乱軍を率いてウェールズ独立のために戦った。

500年以上経った現在、ロッククライミングのガイドブックにモエル・ヘボグの登攀ルートが記載されている。その本には各ルートの初登攀記録が記載されているが、ひとつのルートにはこう書かれている。
「グリンドゥル溝。250フィート。初登攀はオウェイン・グリンドゥル、1400年頃。」

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2005年7月12日 (火)

ウェールズ伝承(2)黄金の琴

「海に沈んだ国」と並んで気になる伝承は、やはり「黄金の琴」でしょう。これも地名見ただけでドキドキしてしまいます。

* * * * * * * * * * * * * * * * *

モルガンとアンナという陽気な夫婦が、ドルゲスラウからカーデル・イドリスに登る途中の小屋に住んでいた。モルガンは指が太くて不器用で、アンナの琴を弾こうとしてはうまくいかずにアンナを笑わせていた。アンナが笑うのは気にならなかったが、近くに住む歌のうまいエヴァンに馬鹿にされるのは嫌だった。

ある夜モルガンがひとりで留守番をしていると、ノックの音が聞こえたのでドアを開けると、緑の服を着た背の低い人が3人立っていた。
「長い旅をしてきて疲れているのです。何か食べものをいただけませんか?」とひとりが言うので、モルガンは
「どうぞお入りなさい。パンとチーズとエールでよろしいですか?」と3人を招き入れた。
「おお、ケーキもありました。どうぞお好きなだけ召し上がって下さい」ともてなすと、3人は黙々と食べた。

食べ終わるとひとりが立ち上がってこう言った。
「ありがとうございました。お礼がしたいので、欲しいものを何でも言って下さい」
冗談を言っているのだと思ったモルガンは、冗談で答えようとしてこう言った。
「そうだな、おれの不器用な指じゃ琴なんて弾けないってアンナがいつも言うから、おれでも弾ける琴が欲しいものだな」
「かしこまりました。では、どうぞ」
と暖炉のほうを指さすので見ると、敷物の上に黄金の美しい琴が現れた。
驚いて振り返ると、3人の旅人の姿は消えていた。彼らはカーデル・イドリスに住む妖精だったのだ。

モルガンが琴を持ち、指を弦に当てると、琴は自然にウェールズのダンス音楽を奏で始めた。アンナが帰ってきてその音楽を聴くと、自然に踊り出して止まらなくなってしまった。
「やめて、もう疲れたわ!」とアンナが言うので、モルガンは
「自分でやめればいいじゃないか」と言ったが、アンナは
「自分じゃやめられないのよ!」と言う。
モルガンが琴を置くと、音楽はやっと止まり、アンナは椅子に倒れこんだ。
息をついて笑い出したアンナに、モルガンは琴を手に入れた次第を話した。

琴の噂はすぐに広まり、人々は黄金の琴を見に次々と小屋にやってきた。モルガンは琴を弾き、みんなが満足するまで踊りを楽しませていた。

ある日エヴァンがやってきて意地悪く言った。
「モルガン、君が琴なんて弾けるわけがないよな。噂が嘘なのを確かめに来たんだ」
「まあ聞いてみろ」とモルガンは琴を弾き始め、エヴァンがへとへとになって倒れそうになるまで音楽を奏でた。
「どうだ、わかっただろう」とモルガンはやっと琴を置き、エヴァンが這いつくばって帰るのを笑って眺めた。

その時モルガンの耳元で
「妖精の音楽は意地悪のために使うものではないぞ」という声がした。
しかし振り返っても誰もいず、気がつくと琴も消えてしまっていた。
アンナが帰ってくると、モルガンは琴がなくなった次第を話した。
「みんなおれが悪いんだ」
「そうね。でも琴がなければ、私が歌うわ」
アンナは美しい声で歌い、琴を失ったモルガンの悲しみを癒した。
その後ふたりは幸せに暮らし、誰に対しても、エヴァンに対してさえも意地悪をすることは決してなかった。それでも妖精が黄金の琴を再び持ってくることはなかった。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2005年6月21日 (火)

ウェールズ伝承(1)海に沈んだ国

本や書類の山の中に、Foggyさんからお借りしているWelsh Tales for Childrenの本が埋もれてしまっていたのを発見しました。すみませんm(_ _)m
お詫びもかねて、この本に載っている伝承をかいつまんで少しずつ紹介していきたいと思います。第1回の今日は、夏至スペシャルということで(^^)、「海に沈んだ国」です。
原文でCardigan BayとかAberdoveyといった地名を見るだけでドキドキしてしまうんですけど、どうしましょう?

* * * * * * * * * * * * * * *

昔々、北ウェールズの西に豊かな国があった。今ではその場所にはカーディガン湾の青い海しかなく、その国を訪れることはできない。しかし海が静かな干潮時には、かつてその国を洪水から守った壁の遺跡に波があたって白く泡立つのが見えるという。

その国の名はGwaelodといい、20の町に教会や麦畑、イギリスで一番にぎわう港があった。国を囲む海は満潮時には人々の背より高くなったが、海との境の丈夫な壁を二人の大公が守っているので、人々は安心して暮らしていた。

Seithenin大公は壁の南側を守っていた。現在のアベルダヴィにつながるあたりである。Teithrin大公は壁の北側を守っていた。現在シェル島と呼ばれるあたりが壁の北端だった。Teithrinは壁の状態にいつも気をつけていたが、Seitheninは大酒飲みで、壁の上に城を建てたからいつでも監視できると豪語するものの、城では酒を飲んでいるばかりだった。Seitheninが守っているはずの壁が傷んできていることにTeithrinは気づいていたが、年上の大公を非難することにはためらいがあった。また、SeitheninにはRhonwenという娘がいて、Teithrinはいずれ彼女と結婚したいと思っていた。TeithrinがSeitheninに壁の修理を進言しようと決意した時には、もう手遅れだった。

ある高潮の日にものすごい嵐がやってきた。Teithrinは部下たちと北の壁を点検したところ大丈夫だったが、南の弱い壁--Rhonwenが父親と住んでいる城のあたりのことが気がかりだった。部下に北の壁を任せてTeithrinはSeitheninの城に急いで向かった。嵐はますますひどくなり、波が壁を越えて高く打ち寄せてくる。夜が近づいて暗くなってきた。Teithrinはひびの入った石壁が波を受けて揺れているのを見て、このままでは壁が城ごと崩れてしまうと思い、波しぶきをあびながら城に駆け込んだ。

城の中ではSeitheninがワインを飲み、部下たちは酔って寝込んでいるところだった。
「すぐ部下を起こして壁を直すんだ!」とTeithrinは叫んだ。「まあ座って飲みたまえ、Teithrin。部下は寝てしまっているんだ。」とSeitheninは言った。らちがあかないと思ったTeithrinは、自分で人を起こして集めようとしたが、誰ひとり来なかった。巨大な波が壁に向かって来るのが見えた時、Rhonwenがやってきた。「城が崩れてしまうわ。父を助けて!」

TeithrinはRhonwenと城の中に戻った。「Seithenin、壁が壊れて敵がやってくるぞ!」Seitheninは立ち上がって剣を抜き、「敵だと? Seitheninにかなう敵などいるものか!」と叫び、止める間もなく駆けだした。そして雄たけびをあげながら、波に向かって突進していった。その時轟音がして城が崩れ始めた。TeithrinはRhonwenを連れて波から逃れようと崩れた塔の石を登り始めた…

TeithrinとRhonwenが気がついた時、嵐は去り、朝になっていた。近くの丘に登り見渡してみると、20の町も教会も麦畑も、何も見えなかった。Gwaelodの国は失われてしまったのだ。そこにはカーディガン湾の青い海原が広がるばかりだった。

| | コメント (6) | トラックバック (0)