「洪水の野原を船で行く」
ーー船は前進を続けた。・・・なんだか洪水に見舞われた野原を、アザミの茂みにぶつからないように進んでいる感じだった。-- 『ひみつの海』より
桧原湖は行くたびにいろいろな表情を見せてくれます。年により、時期により、また気候にもよるのでしょうが、水位が毎回違い、その変化が違った景色を生み出しています。今回のキャンプでの景色を見たら、まるで「洪水の野原を船で行く」ティティの気分。いや、それ以上でした。
キャンプ場に着いてまずびっくり。普段は岸から何メートルも離れている炊事棟が、まるで南国リゾートの水上レストランのよう。いつもテントを張っていた岸辺は、水の中でした。
カヌーやボートで出かけてみれば、もっと驚きの景色が広がっていました。岬だったところが島になり、島は大きさが半減し、木は水没していたのです。木の梢の上をボートで通るなんていう、珍しい体験ができました。ボートのオールの持つところが長すぎて、2本がぶつかってしまってちょっと漕ぎにくかったので、あまり奥地まで探検には行かなかったのですが、それでも十分楽しみました。
今までにも、水位の違いによってこんなことがありました。
ある年にヤマネコ島の浅瀬に石を並べて「桟橋」を作った。→翌年、水位が低く、「桟橋」はまるっきり陸の上で、皆でその上に並んで写真を撮った。→その翌年には水位が高く、「桟橋」は水中深く沈んでいて、ボートから湖底に石が並んでいるのを見た。→今回は、それがどの辺だったのかもわからないほど、水位が高かった。
湖底に沈んだ石を眺めた時には、ティティのこんな気持ちのちょうど反対の気分でした。
ーーティティは、船で通ったときてっぺんが水に洗われていたあの四本のくいの間に立っていた。そして、真上を見上げていたが、タカやヒバリや無限の青空を見ているのではなく、頭上でうずまく一メートルほどの海水と、小さな船の赤い船底とセンターボードを見ていた。--
おととし自分たちで名前をつけた「橋見島」は、今年は1本生えている木のてっぺんだけを残して水没していました。ちょうど、『ひみつの海』で「コリヤナギも、あちこちてっぺんだけ出して潮の流れにゆれていた」のと同じです。
今年の橋見島の写真(というかその木の写真)はないのが残念ですが、前の写真を見て想像してみてください。 ←名付けた時の橋見島。つり橋の上から見ています。中央の木が1本ある小さい島がそうです。今年はこの木のてっぺんだけ残して沈んでました。
冬に橋見島からつり橋を眺めたところ→
つり橋、 わかるかなあ。木の真ん中辺のずっと向こうにあるんだけど。クロカンスキーでこの島に上るのは結構大変だったほど、高さがあったのに。
<追記>
COOTさんに今年の橋見島の写真をもらったので、アップします。上に載せた名付けた時の写真も、トリミングして島がわかりやすいようにしてみました。
←大きな石と木が1本あるこの島が・・・
木のてっぺんだけを残して水没していたのでした。→
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コメント
雪景色の写真と並べるとインパクトありますね。私の撮った写真の中に今回の橋見島の写真もありますが、人物もしっかり一緒に写っています。
TBさせていただきますね。
投稿: COOT | 2006年7月23日 (日) 20時47分
「橋見島」の冬の姿はそんな感じだったのですね!
水没しきってたので島の状態はほんと想像できなかったです。
Titmouseさんのおかげで私は色々な場所を探索する
ことができたのですが、毎年そんなに風景が変わるとは!
是非色々な地形の姿も見たくなりました。
投稿: KIKI | 2006年7月24日 (月) 01時00分
>COOTさん
写真あるんですね。私達が写ってるのかな。トリミングして使えそうなら使ってもいいでしょうか? 命名時の写真もあるとうれしいのですが。(とすっかり頼ってしまう。私が持ってる写真は、命名した自分達のアップで、島全体が写ってないので。)
>KIKIさん
そうなんです。ああ、ちゃんと定点観測的写真を撮っていればよかった・・・
投稿: Titmouse | 2006年7月25日 (火) 22時47分
写真を直メールで送りました。使えるかどうかかなり微妙です(^^;。
投稿: COOT | 2006年7月26日 (水) 07時03分