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2005年7月12日 (火)

ウェールズ伝承(2)黄金の琴

「海に沈んだ国」と並んで気になる伝承は、やはり「黄金の琴」でしょう。これも地名見ただけでドキドキしてしまいます。

* * * * * * * * * * * * * * * * *

モルガンとアンナという陽気な夫婦が、ドルゲスラウからカーデル・イドリスに登る途中の小屋に住んでいた。モルガンは指が太くて不器用で、アンナの琴を弾こうとしてはうまくいかずにアンナを笑わせていた。アンナが笑うのは気にならなかったが、近くに住む歌のうまいエヴァンに馬鹿にされるのは嫌だった。

ある夜モルガンがひとりで留守番をしていると、ノックの音が聞こえたのでドアを開けると、緑の服を着た背の低い人が3人立っていた。
「長い旅をしてきて疲れているのです。何か食べものをいただけませんか?」とひとりが言うので、モルガンは
「どうぞお入りなさい。パンとチーズとエールでよろしいですか?」と3人を招き入れた。
「おお、ケーキもありました。どうぞお好きなだけ召し上がって下さい」ともてなすと、3人は黙々と食べた。

食べ終わるとひとりが立ち上がってこう言った。
「ありがとうございました。お礼がしたいので、欲しいものを何でも言って下さい」
冗談を言っているのだと思ったモルガンは、冗談で答えようとしてこう言った。
「そうだな、おれの不器用な指じゃ琴なんて弾けないってアンナがいつも言うから、おれでも弾ける琴が欲しいものだな」
「かしこまりました。では、どうぞ」
と暖炉のほうを指さすので見ると、敷物の上に黄金の美しい琴が現れた。
驚いて振り返ると、3人の旅人の姿は消えていた。彼らはカーデル・イドリスに住む妖精だったのだ。

モルガンが琴を持ち、指を弦に当てると、琴は自然にウェールズのダンス音楽を奏で始めた。アンナが帰ってきてその音楽を聴くと、自然に踊り出して止まらなくなってしまった。
「やめて、もう疲れたわ!」とアンナが言うので、モルガンは
「自分でやめればいいじゃないか」と言ったが、アンナは
「自分じゃやめられないのよ!」と言う。
モルガンが琴を置くと、音楽はやっと止まり、アンナは椅子に倒れこんだ。
息をついて笑い出したアンナに、モルガンは琴を手に入れた次第を話した。

琴の噂はすぐに広まり、人々は黄金の琴を見に次々と小屋にやってきた。モルガンは琴を弾き、みんなが満足するまで踊りを楽しませていた。

ある日エヴァンがやってきて意地悪く言った。
「モルガン、君が琴なんて弾けるわけがないよな。噂が嘘なのを確かめに来たんだ」
「まあ聞いてみろ」とモルガンは琴を弾き始め、エヴァンがへとへとになって倒れそうになるまで音楽を奏でた。
「どうだ、わかっただろう」とモルガンはやっと琴を置き、エヴァンが這いつくばって帰るのを笑って眺めた。

その時モルガンの耳元で
「妖精の音楽は意地悪のために使うものではないぞ」という声がした。
しかし振り返っても誰もいず、気がつくと琴も消えてしまっていた。
アンナが帰ってくると、モルガンは琴がなくなった次第を話した。
「みんなおれが悪いんだ」
「そうね。でも琴がなければ、私が歌うわ」
アンナは美しい声で歌い、琴を失ったモルガンの悲しみを癒した。
その後ふたりは幸せに暮らし、誰に対しても、エヴァンに対してさえも意地悪をすることは決してなかった。それでも妖精が黄金の琴を再び持ってくることはなかった。

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コメント

「海に沈んだ国」と「黄金の琴」
わくわくします
「モルガン」という名前にも過剰反応中です^^

今日は「お料理バトン」をお持ちしました
よろしかったらお受け取りください!
ちょうど昼時
バトンを回しながら、お腹をグゥグゥ鳴らしてます

投稿: あき | 2005年7月15日 (金) 12時10分

ほえ~、お料理バトンですか!
質問を見て、難しそうと思っていたんです。うちの貧しい食卓がばれてしまいそう・・・。
ちょっと考えてみますね。

投稿: Titmouse | 2005年7月15日 (金) 18時21分

金の琴でブラァアンと反応してしまいました。遅レスですけど、叫ばせて下さい。

投稿: 蓮 | 2005年8月17日 (水) 00時12分

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